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就業時間 終了間際。
デスクの上に置いておいたスマホが振動し、メッセージが届いたことを知らせる。
スマホを触らなくても表示されている本文。
『今晩、行ってもいい?』
送信相手は、仁(じん)。
来るのは、私の部屋だってことは、もう暗黙の了解。
でも仁から連絡がくるのは、久しぶりだ。
また彼女と別れた……?
周りの見回し、上司が在席していないことを確かめて、さっと返信する。
『今日は、習い事があるし、ムリ』
小さくため息をついて、残りの仕事を片付けようと、パソコンのキーボードに手をかけた。
その途端、また仁からのメッセージ。
キーボードに手を置いたまま横目で、本文を確かめる。
『男が来ないなら、行くから』
私は大きくひとつため息をつき、
そのままスマホを手に取ることなく仕事に取り掛かった。
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