初恋のヒト

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不慣れな手つきで、私の服を脱がす指が少し震えてたこと。 キスするとき、 歯があたって、唇がちょっと痛かったこと。 なかなか入っていかなくて、 かなり戸惑ってたこと。 おままごとのような私たちの 「初めて」は、 そこから、道が始まるんじゃなくて。 そこが、目的地だった。 終わったあと、 動けない私に、 仁は、爽やかに笑って言った。 「さんきゅ。優奈。 これで、すっきり大学に行ける」 少しは私のこと、想ってくれてるんだよね?って 信じてたのは、 ほんのわずかな期間で。 大学に入ってすぐ、 仁に、彼女が出来たって事を 兄づてに聞いた。
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