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「そうよね、華乃の言うとおりだわ。あとで迎えの車が来るみたいだから、ゆっくり会って話してみるといいわ」
「はあ?!あとで?!どんだけ急なの!!」
これじゃ龍成の時とまるで一緒じゃないの!!
「早い方がいいでしょう?というか早くしないと、お父さんのリストラがかかってるんだから」
「そ、そうか…」
にしてもあんまりじゃない?前は皆ここまでごり押しじゃなかったのに、今回はわたしの意志が全然尊重されない。
それだけ切羽詰まってるってこと?
前とは緊急事態のレベルが違うのかな…。
──一時間後、家の前にタクシーが一台停まる。
なんでよりにもよってこの日なの。
龍成の時とシンクロしちゃう。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
「華乃姉、きっとイケメンだって!」
「來乃ってば、何言ってんの」
「華乃ちゃん、嫌だったらきちんと断るんだよ」
「わかってる。ありがとね、お姉ちゃん」
重い足取りで家を出る。
タクシーに乗り半年前を思い出す。
これであの飲み屋に行ったらどうしよう。笑えるようで笑えないわ。
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