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しばらく会わないうちに達也はなんだか本当にミュージシャンらしくなっていた。
着ている洋服もなんとなく高価なものになり、オープンカーにもなる左ハンドルの真っ白なベンツの所有。
まだテレビで見かけることは少ないけれど その成功っぷりが少しずつ伺えた。
毎週ではないが金曜日や土曜の深夜は達也が人目を忍んで部屋を訪ねてくれる。大阪にいた頃のように肩肘をつきながら聞き慣れた声で話しかけ添い寝をしてくれる瞬間が一番幸せだった。
いつも元気で面白い事ばかりを言う。そんな変わらない達也が大好きでやっぱりこの人がいないと私は生きてゆけないし幸せになれない。依存の想いは深くなるばかりだった。
恭子は美香の世話を自分の新しい生き甲斐のように感じていて、嬉しい生活の張り合いができたと思っていた。
銀座の女はスマートでどこまでも強か(したたか)なのである。
擦れて(すれて)いてもそのそぶりを一切うかがわせないのがプロ。
恭子は嫌という程それを知っている。雇っている女の子の大半が若い頃の自分にそっくりで
恐ろしいほど強かでどこまでも貪欲。
自分の中の隠したい部分をふとした瞬間にまざまざと見せつけられる日々で、そんな中の美香との出会いは格別であった。
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