6人が本棚に入れています
本棚に追加
優は既に東大受験に向けて動き出していた。
大げさかも知れないが…これが自分の運命を分ける、
人生最大の賭けになる。
そこまで思い詰めていた。
文型の教科は美香が残したノートをくまなく読み漁り頭に入れてゆく。
百合子と会う時間もぐっと減り、テスト期間中は集中力が落ちるので一切連絡を取らなかった。
テストが終わった週末、美香が東京に向かうと
百合子はデパートの食材を持って優を訪ねる。
優に美味しいものを食べて欲しいのと自らを捧げる為に…。
自分の家よりもずっと小さい不便なキッチンで料理をする新鮮さ。好きな人の為に食事を作るという少女のママゴト…。
優に必要とされている瞬間はたまらなく幸せだった。この人の寝顔も身体も知ってるのは私だけ。
私は佐藤優の彼女なんだ…。その現状が百合子の一番の優越感だった。
最初のコメントを投稿しよう!