中学生日誌-ファントムペイン-

1-退院

○退院まであと一週間。そう思うだけで、気持ちは憂鬱になる。
○朝の病室のベッドに腰かけて、僕は上半分をバツで埋められたカレンダーを見つめていた。
○ひと月は入院した。手術を受けた後も頭、体、背中と色々な検査をされて、病院内のリハビリも甲斐なくひと月が過ぎようとしていた。
○僕な溜息をつくとベッドに寝転ぶ。右足は太ももの力だけで持ち上がった。
「くっそ……」
○思わず悔しさが漏れた。
○頭上の棚には、学校の教科書と部活メンバーによる写真が置かれている。写真を取って見ると、親しい仲間と先輩達が、私服姿で料理の皿やジュースのコップを持ってこちらに笑いかけている。
○しかしそこに、僕の姿は写っていない。
「はぁ」
○深い息を吐くと、写真を隣に軽く放った。写真はベッドの上を二、三回程小さく跳ねて、止まった。