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それは無邪気さ故の過ちだったのだ。
誰がこんな事になる事を想像できただろう・・・・・
この集合住宅の立ち並ぶ場所を人は『団地』とも呼んでいた。
『団地』には1から12号棟まであり、その中心には小さな公園があった。
あまり声が聞こえてこない午後3時過ぎにその公園を歩く1人の高校生がいた。
スマートフォンをいじり、慣れた手つきで『友達』と書き込みあっている・・・・・
ふと、背後に視線を感じた。
足音が近づいて来る・・・・・
このリズムは・・・・・
『お姉ちゃん、今日は帰り早いんだね。』
『なんだ瑞樹じゃん、今帰り?』
『ううん、友達の家に行ってたんだ。翔也君が『ドラスト』で
レベル50超えたって見せてくれたんだ。』
『ドラストって何だっけ?』
『ドラゴンストーリーだよ、自分のドラゴンと旅をしながら
レベル上げて街のドラゴン使いと勝負して伝説のドラゴンになるんだ。』
『それ、この前、あたしのスマホに落としたヤツだっけ?』
『そうだよ、あれ。』
『人気あるんだね、あのゲーム。電車の中で中年のおっさんもやってた、笑った。』
『翔也君のドラゴンはすごいんだ、光属性でレベル51になってるんだよ
もう5つめの街に進んでるんだよ・・・僕のはまだレベル27なんだぁ・・・』
『あのさ瑞樹、課金とかは1000円以内!あたし宛のメール着たらソッコー返す、
それが守れるなら貸してあげるよ。』
『ホント!いいの?ありがとう、お姉ちゃん。』
スマホを受け取ると嬉しそうにエレベーターホールに走って行った。
玲奈はやっと最近『お姉ちゃん』と呼べるようになってきた弟を可愛がっていた。
ついこの前まで『れぇちゃん』と言っていた瑞樹はまだ小4になったばかり
姉としてはまだまだ可愛いレベルなのだ。
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