第1章

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「こんにちわ。私、こういうものですが、社長さんはいま、お忙しいでしょうか?」 ヨウは、名刺を渡し、受付の返事を静かに待った。 「社長、お客さんですが…」 すると、意外にも社長が予想外にすぐの奥から出てきた。ヨウの経験だと、一回目の訪問ではなかなか社長に会えず、アポを取りつけることができれば上出来だったからだ。ヨウは、一回目ですぐに社長と会えたことから、 「今日はツイテル。いけるぞ。」 と心の中でガッツポーズをした。そして、ヨウがツイテイルと確信したのは、すぐに応接室へ通され、社長と二人で話をする機会が与えられたからだ。 「お忙しいところすみません。お時間をとっていただき、ありがとうございます。わたくし、こういうものと…」 「うんうん。さっき名刺みたから分かるよ。投資家の方だよね。それで、今日はどういったお話で?」 「じつは、貴社のご活躍は目まぐるしいものがあると感じましてお伺いしました。」 「ほうほう。それで。」 (よし食いついてきた。こりゃあいけるぞ)ヨウは、そう思った。 「私はまだ駆け出しの投資家ではあります。そもそも投資家というのは、自ら投資して、その投資した額以上に利益を出し、それを生業とするのが本来だと思います。しかし、私の行っている投資家という生業は、投資をしてもらい、それで事業を成功させるという点において特徴があると感じております。」 「具体的に教えてもらえますかな?」 「はい。貴社様の場合ですと、私が考えているプランとしては、まず貴社様から投資をいただきます。そして、その投資額の範囲で、貴社様が考える事業展開のお手伝い、例えば、新しく店舗を開いたり、また貴社様が他に新しくまったく違う事業をしてみたいというのであれば、そのお手伝いをすることも可能です。」 「それじゃあ、僕がいま、例えばだけど、今の会社とまったく分野が違うIT関連の会社を作りたいといった場合はどうなるのかな?」 「それは、あくまで私の投資家としての知識があるかどうかで、行える分野は限られてしまいますので、可能な範囲とそうでない範囲があります。ですが、いま貴社で行われている業務とあまりにかけ離れない範囲ですと、可能であると考えてもらって構いません。」
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