映怪倶楽部

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 時は流れ、2030年。日本の根住町。 「……だから、きっと何かあるんだよ。かずほん、私お祓いいってきたほうがいいかな」  テーブルに肘を着いて、身を乗り出すように向かいの席に顔を近づける。朝食のパンに長い髪が触れそうになる。 「また変な夢見た? ナナミンの考えすぎだって」  セーラー服を着た少女2人が長方形のテーブルを挟んで食パンとコーンスープの朝食を取りながら会話をする。その横ではテレビの中でアナウンサーが笑顔で天気予報をしている。 「今日は晴れか~」  かずほんと呼ばれた少女、和穂は声のトーンを落とす。向かいに座る七美は晴れの日の和穂をいつも不思議に思っていた。 「晴れいいじゃん。昔から嫌いだよね」 「当たり前だろ~、紫外線はお肌の大敵よぉ」  ガブッ。大きな口に残りの食パンをしまいこむとモゴモゴと頬をリスのように膨らませてしばらく黙ってしまう。 「喉詰まらない?」 「モゴガ、モゴゴムゴ!」 「飲み込んでから話しなよ」  七美の言葉に頷き、ジャゴジャゴとパンを噛み始めた。  朝食を終え、登校の準備を終えると家を出る。 「ママさん、行ってきます」 「いてきまー、母さん」  七美と和穂を母がリビングから顔を出して見送る。
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