映怪倶楽部

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 その日の授業が終わり、七美と和穂は部活に入っていないこともあってすぐに下校する。 「気になってんだけどさ、赤塚」 「なに?」  一緒に帰っている明神が七美の後ろから声をかけ、振り返る。道が狭く美黄も着いてきていることもあり4人が横一列に並ぶことが出来ない。 「なんで和田の家に住んでんの? 親戚かなにか?」 「あ~」  いつか聞かれるだろうと思っていたこともあり和穂が声を漏らす。実際に、他の友達からも何度か質問されてきていることでもあった。 「七美が10歳の時に両親が病死してね。独りっ子だし、私が頼んで一緒に住んでるんだよ」 「へぇ~、なんか悪いこと聞いたな。すまん」 「いやぁ、いいよ。ろくに家にいなかった親だし、それに前から面倒見てもらってたから」  4人の空気が重くなる。たった2分程度であっても十倍は長く感じてしまう。  足音と鞄のストラップが揺れる音、車が行き交う音だけが4人の耳に聞こえる。 「コンビニ! お菓子買わない?」 「お、おう」 「あ~、小腹空いたしパン買う」  重苦しい雰囲気を壊したのは美黄だった。何も言わなくともコンビニへは行くつもりだったが、美黄はあえて口にした。
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