第一章:《黒髪紅眼の破壊者》

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――既にこの時から違和感を感じていた。 身体が覚えているはずの動きが、自分の想像しているよりも‥‥否、出来るはずの動きが、上手くいかないような。 まるで、自分の身体が錆び付いているように鈍い。 本能で動き回る獣に対してすら、苦戦を強いられていたこの現状に。 クロウ(どうなっている‥‥!?) この熱気のせいなのだろうか。それとも、先程からうっすらと感じる異質な空気のせいだろうか。 サイナ「クロウ、油断しないで!!」 サイナの叫びに、クロウは剣に食らいつく魔物を振り払い、斬りつけて応える。 一撃を与えれば、魔物は崩れて霧散する。 実体を持っていない魔物。 召喚術の類いである可能性が高い。 と、なれば。 サイナ「クロウ、これは‥‥」 クロウ「ああ‥‥どこかにこの魔物達を操っている奴がいるはずだ‥‥」 王都を燃やした者と関連があるのは間違いないだろうが、だとしたら目的は何なのか。 先程の地震と関係はあるのか。 分からないことが多すぎる。 サイナ「とにかく、何処かに生き残りがいないかも‥‥」 そうだ。 まだ生き残っている人もいるかもしれない。 クロウ達は変わり果てた王都の貴族街に向かった。 ◆◇◆ クロウ「くっ‥‥」 サイナ「‥‥ここもこんなにボロボロに‥‥」 貴族街も商区同様、建造物は崩れ、辺りは炎に包まれていた。 煙が立ち込め、満足に周囲も確認できない。 サイナ「‥‥父様、母様‥‥」 クロウ「‥‥‥‥」 確か、サイナの養父母は貴族だったか。 だが、今頃は‥‥ クロウ「‥‥!」 煙の中を進むと、石畳に浮かび上がるように、なにかが横たわっているのが見えた。 水色の髪の、少女だろうか。 辺りに比べて明らかに浮いているため、見つけるのは用意だったが、果たして生きているのか。 クロウ「おい、大丈夫か!」 サイナ「この人‥‥まだ息があります!」 怪我はしているが、まだ生きている。 見たこともない服装だが、貴族だろうか。 サイナ「とりあえず、彼女を安全な場所に‥‥」 ?「それは困るなァ」 炎の中から声が聞こえた。 二人は反射的に武器を構える。 クロウ「誰だ!」
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