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クロウ「はぁッ!」
男の頭上から降り下ろした剣は、その寸前で弾かれる。
男はニヤリと笑い、手にした魔導書で薙ぎ払い、衝撃波を起こしてクロウを吹き飛ばす。
クロウ「ぐあっ!?」
サイナ「クロウ!」
?「おや、余所見かね? 危ないぞォー!?」
サイナの死角から魔物が襲いかかる!
サイナ「――――っ!」
食らいつく、その刹那。
銃声が轟き、魔物が吹き飛んで霧散する。
サイナ「――――あ、あなた‥‥」
?「‥‥大丈夫!?」
水色の髪の少女が、銃を構えて立っていた。
負っていた傷も塞がっており、もう回復したように見える。
サイナ「助かりました‥‥えっと‥‥」
?「‥‥マーシャル。私はマーシャルって言うの」
少女は名乗り、再び銃を構えた。
マーシャル「私も戦う。まだ何が何だかわからないけど、とにかくこんなところにいられないから‥‥」
クロウ「‥‥戦えたのか」
サイナ「心強いです」
?「フム、これはこれは。だが今更一人増えた所で何になるのかねェ」
マーシャル「ラヴィード君達は何処!? あんたなら知ってるでしょう!?」
マーシャルの言葉に、男は鼻で笑った。
?「ラヴィードォ? ああ、あの赤いのか。奴ならとーっくに逃げたよ。卿を置いて、な」
マーシャル「な‥‥!」
?「まっっったく面白くない! 奴等、神術とかいう力を振り回しながら儂に手も足も出ずにやられおった! その結果、情けなく逃げおって!」
マーシャル「ラヴィード君達が‥‥逃げた‥‥!?」
?「生きておるといいなァ。だがあの怪我じゃあなァ? 果たして生きてるかどうか怪しいなァー?」
マーシャル「‥‥‥‥!」
クロウ「マーシャル、分が悪い。このままでは数で押されてしまう」
動揺するマーシャルに、クロウは冷静を装って声をかける。
何が何だかわからないが、彼女も彼女で何かあったようだ。
マーシャル「で、でも‥‥ラヴィード君達が‥‥」
サイナ「今は生き残ることに専念しましょう。お仲間の皆さんもにげているなら、きっと‥‥」
サイナも説得し、マーシャルもようやく納得して頷いた。
クロウ(‥‥商区まで戻って、入り口から外に逃げるぞ。そこからは身を隠せる場所を探す)
サイナは頷き、クロウと共に地理の分からなさそうなマーシャルの手を引いて走り出す。
マーシャル「‥‥っ!?」
クロウ「立ち止まるな!! 逃げろ!!」
黒焦げになった肉塊を目の当たりにして怯むが、クロウの声で再び走り出す。
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