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◆◇◆
敵前逃亡。
クロウ達は鈍った身体に鞭を打って走り、商区を抜け、王都の入り口を抜けた。
だが、そこにはクロウが知っている王都の外ではなかった。
王都を抜けた先には、王都を取り囲む砦、《都境》へと続く道があるはずなのだが、目の前に広がっているのは森だ。
静かな、見たこともない筈なのに、そこにあるのが当たり前であるかのように、木々が囲み、獣の声が聞こえてくる森。
クロウ「何故、こんな所に森が‥‥!?」
サイナ「どういうことなんですか‥‥もう、訳が分かりません‥‥!」
混乱する中でも、走る足は止めず、三人は森の中を進んでいく。
男は追ってきているのだろうか。
振り返る余裕もなく、ひたすらに走り続けた。
そして、たどり着いたのは開けた広場。
クロウ達がたどり着くと、森の広場に集まっていた小動物達が蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
クロウ「やはり、こんな森は見覚えがない‥‥!」
マーシャル「??」
マーシャルはそもそもこんな景色は知らないらしく、クロウ達とは違うような混乱をしている。
?「全く‥‥逃げ足がはやい奴等よなァ‥‥」
クロウ「!」
クロウが振り向き、透かさずマーシャルを庇う位置まで走ってから剣を薙ぐ。
すぐそこまで迫っていた魔物はクロウの一撃を受けてその場に倒れる。
視線を先に移すと、先程の男が黒い靄を纏って現れる所だった。
あの靄は、街で魔物が現れた時と同じ‥‥
?「で? このまま逃げ続けるつもりか? 儂から逃げられるとでも思っているのかなァ?」
サイナ「‥‥くっ」
この男はあの靄を使って移動してくる。
アレが何処へでも行けるものならば、奴から逃げる事は不可能。
戦っても勝ち目はないだろう。
クロウ「くそっ‥‥!」
?「さぁ‥‥続きと行こうではないか‥‥この森も儂の好みに染めてやろうか‥‥?」
男の足元に黒い靄が現れ、街で戦ったものと同じ魔物が数体現れた。
サイナ「‥‥何とかして、切り抜けなければ‥‥!」
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