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「…それが…自分でもよく分からなくて…」
鈴花は俯きながら続けた。
「夜、寝る前までは普通に自分の家にいたんです。でも朝起きてみたら…」
「この世界に来ていた、と?」
「…はい」
鈴花は恐る恐る雅楽のかおを見上げた。
そこには少し落胆したような表情が浮かんでいた。
…私、何かまずいこと言ったかな…?
「…あ」
突然、雅楽が声を上げた。
その視線の先には赤く染まる夕焼けの空があった。
「…お前もこちらの世界に来て、疲れているだろう。今夜はゆっくり休むといい」
雅楽はそう言って微笑むと、見惚れてしまうくらい美しく立ち上がった。
鈴花も立ち上がろうとするが、今まで正座だった為に上手く立ち上がれない。
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