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「…残念ながら、心当たりはありません」
「そうか…」
雅楽は諦めた様にため息を吐いた。
そして鈴花に視線を移すと、その頭にポンと手を置いた。
「知らないからといってお前を追い出す様な真似はしない。元の世界に戻るまでの間、ここで暮らすといい」
行く当てもない鈴花からすれば、それは魅力的な言葉だった。
しかし、ここに住むということは男の姿の雅楽とも一緒に暮らさなければならない。
先刻助けてもらったとはいえ、まだよく知らない男の家に少しの間でもお世話になって良いものなのだろうか。
「とりあえず今日だけでも泊まったらどうだ?疲れているだろう?」
雅楽の言葉に、鈴花は少し躊躇った後に頷いた。
雅楽は満足そうに笑うと、鈴花に布団一式を手渡して部屋から出て行った。
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