1991年 パリ

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講義についてゆくのが必至で、業後はその日のうちに再復習をしないと とんでもなく後れを取ってしまうので その作業を怠らずに毎日こなす。 その忙しさに紛れてか 不思議と寂しさに負ける事はなかった。 祐介からのプロポーズが、美香の心の平穏の大きな鍵となっている。 もう、永遠を探し続けなくてもよいのだ。 この世で一番欲しかったものを私は手に入れたのだから…。 ずっとずっと寂しかった少女は、愛する人に出会い救われ 強い心を育てつつある。 強さは…痛みから生まれるかもしれないけど 愛で満たされた瞬間から育っていくものではないかしら? 土曜日の午後、校内の図書館からの帰り道 落ち葉の小道を歩きながら ふとそんな風に思った。
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