1991年 パリ

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時間を見つけては、祐介に手紙を書いた。 とにかくやる事がありすぎて忙しいので手紙を一気に書き終える事が出来ずに 数行ずつ、心を込めながら書いた。 恭子への手紙も、優への手紙もそんな風にゆっくりと近況を書き記してゆく。 毎晩ベッドに入ると 決まって感謝の気持ちに包まれて 自分が今こうしてパリにいる事すらまだ信じられない気持ちになるのだ。 あんなに臆病だった自分が、海の向こうへ一人で来てしまった。 こんなに自分が変わるなんて…… そこまで考えた頃にいつも眠りに落ちる。 きっと夢を見ているだろうけど、朝 目覚める頃には夢の記憶が全くなかった。 毎晩、本当にぐっすりと眠った。
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