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酒場のドアを開けた悠の目に飛び込んできたのはひっそりとした雰囲気の、昼間とは真逆の酒場だった。
「ここが…革命の司令部ってか?」
問いかける悠に頷くノエル。回りの視線が悠に降り注がれる。
悠はその視線に固まってしまっていた。もともとヒキコモリの身なのだ。視線を受けなれていないのも仕方ないだろう。
そんな悠を見かねたのかは分からないが、マーガレットが前に歩き言葉を発する。
「皆さん、今回革命軍に軍師参謀として参加してくださる…えーと?」
マーガレットの疑問符に悠も頭をかしげる。何を迷っているんだろう?
「えーと…そういえば私あなたの名前を聞き忘れておりました…」
ばつが悪そうに視線を反らしながら悠に告げる。
悠も、そういえば名乗ってなかったなと思い自ら革命軍の仲間に名乗る。
「この革命軍に軍師参謀として参加する風見悠だ。よろしく頼む」
そう告げ、マーガレットの方をちらりと見る。マーガレットは頷き、前に進み出る。
「ということですので、これからはカザミーユの指揮下に皆さま入っていただきます。実質のNo.2ですのでそのつもりで」
マーガレットの言葉に悠は茫然とする。軍師ということはNo.2であることには異存は無い。だが、そこではないのだ。
「姫様…? カザミーユって誰ですか?」
半ば答えを予想しながらも問いかける。
マーガレットはにっこり笑って、
「あなたの名前ではありませんか」
「いや、俺は風見悠で、カザミーユでは」
「カザミユウ? そんなおかしな名前はありませんよ」
その言葉に悠は自分が異世界人であることをさらに自覚する。
そして思考すること数十秒。
「カザミーユです。ちょっとした引っかけですよ」
あっさりとそう名乗った。
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