第1章 競技開始

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落ち着け落ち着け落ち着け俺。 異世界に来て三時間で無銭飲食で捕まるなんて展開はナンセンス過ぎる。 悠は何とかする方法を求めて周りを見渡す。 すると酒場の一角に異常に盛り上がってる場所が有った。 「お、おっちゃん。あれなに?」 「ああ。ボードゲームを使ったギャンブルだよ」 「ほう?」 ボードゲームと聞いた瞬間悠の目が光り、頬には不遜な笑みが浮かぶ。その姿は乱雑に切られた髪型と相成って不審さが上昇する。 そのままふらりとボードゲームの方へと歩く。ちょうど髭面の男と金髪の女性が勝負していた。 見る限り女性の方が劣性。というよりやっているゲームは 「チェスじゃん!!」 思わず悠は叫ぶ。周りの目が悠に集まるが気にせず女性の方へと近づく。 「ねぇ、お姉さん。俺と代わってくんない?」 女性は気が強そうな目でこちらを見据え、 「まだ、こちらの勝負は続いている!!なぜ」 「このままじゃ五手先で負けるよ」 女性にしか聞こえないように呟く。女性の目が見開かれるが、悠は気にせず囁く。 「俺なら逆転して見せる。勿論かけてる金の殆どがあんたのもんだ。俺はお情け程度に貰えれば良い。悪くないだろ?」 浮かべるは不遜な笑み。あふれでる自信。女性は自分でも理由が分からないまま悠に席を譲る。 悠は目の前の男に向かい告げる。 「八手だ。八手で勝って見せる」 予告をする。悠の手は決まっている道筋を辿るかのように動く。 八手目悠は宣告する。 「チェックメイト…」
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