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この国の元姫と聞いても、悠は顔色一つ変えず溜め息を吐き出した。
「あー、うん。大体展開は読めた。断る!!」
きっぱりと宣言した。
それに慌てるのはノエルだ。
「ちょ、ちょっと待て!! 話だけでも」
「分かってるよ。この姫はこの国を変えるために革命を起こしたい。だから、そのために俺に手伝え、違うか?」
悠の読みはズバリ当たりだった。実際に革命を起こすためには戦力が圧倒的に足りない。
「そもそも、俺はあんたらを手伝う道理も無い。お前に取ってみれば大事な姫だろうが、俺はこの国に来て、間もない。愛国心なんてはなから無いんだよ」
悠の言葉にノエルは言葉を詰まらす。
だが、意外にも反論したのはマーガレットだった。
「ですが、今動かねばこの国は滅んでしまいます」
「滅ぶ?」
「ええ。この国は最南端に位置しますが、北には大国ゴルフトが有ります。内政がゴタゴタしている今攻められれば一たまりも無いでしょう。そのために私達は…」
「そんな御託はどうでも良い」
マーガレットの言葉を打ち消す悠。
「貴様!! 姫殿下のお話を途中で」
ノエルは思わず言葉を切った。悠の目には鋭さがまし、とても意見できる雰囲気ではなかった。
「本音で語ろうぜ姫様? 正直に言えよ。親父の仇が取りたいって」
悠の言葉にマーガレットの顔は蒼白になる。
「ほらな。結局のところ民衆のためってのは建前ってことだ」
「そ、そんなことは…」
「なにも見えてないお子様が偉そうに語るんじゃねぇよ。そんなに仇取りたきゃ自分一人で王と刺し違えな」
悠の言葉を聞いたマーガレットは涙を目にためてそのまま家を飛び出す。
「姫様!! ええい、貴様!!」
「あいた!!」
ノエルの拳が悠の頭に炸裂した。
「ええい!! 追いかけるぞ!! 貴様も来い!!」
「えー、俺関係ないしー」
「姫様に謝ってもらう!! さぁ行くぞ!!」
「てか、ちょっと引きずるな! 尻、尻が痛いって!!」
悠は引きずられながら、路地裏を後にした。
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