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悠は引きずられながらも、なんとか立ち上がり仕方無しにノエルと共にマーガレットを探していた。
「なぁ、ノエル。少し聞きたいことが有るんだが」
悠の問いかけにノエルは剣呑な視線を向けると、そっぽを向く。
「あんたはなんであの姫に付き従う?」
無言。
「あぁ、もしかして百合? 姫様可愛いからね」
無言。
さすがの悠も溜め息を付く。
「あんたも現王に位を奪われた一人とか?」
その言葉にノエルは血相を変えて振り向く。
「ありゃ、正解? 分かりやすくて助かるよ」
悠の人をおちょくる態度に歯噛みする。たが、その言葉は事実だった。
「まぁ、身の上話には興味は無いんで? あんたがこの無謀な計画に乗る理由も分かったし」
「無謀…?」
ノエルは悠の顔を睨み付ける。だが、どこ吹く風と言わんばかりに悠は肩をすくめる。
「まず、兵力差。俺は戦争なんてコー○ー位しか知らねぇけど数が相手より少ないのはネックだろ?」
その言葉には頷かざるをえない。実際には人材が全く足りていない。
「二つ。北には大国ゴルフト。そんな危険な状態で内戦なんか起こしてみろ。あんたらが勝とうが負けようがこの国は地図から消えるだろうよ」
悠の危惧にノエルはうつむく。正直そこまで頭を回すことは出来なかった。いや、回らなかったと言うべきか。ノエルを動かしていたものも所詮は私怨なのだから。
「三つ。その後のビジョンが不透明だ。あの姫にはっきりいって指導力があるとは思えない。だから、この国は滅ぶ。指導力の無いやつがトップだと求心力もなにも有ったもんじゃない。役不足なんだよ」
「そんなことは」
「無いって言うなら証明してみろよ。だったら信じてやる」
無茶苦茶な事を悠は言い出す。
「俺の国では馬鹿な民衆が担ぎ出した王様が失敗したら手のひらを返すような国なんだ。革命を起こすなら最低限のカリスマは必要だろ?」
「貴様に…姫様の何が分かる!!」
「会って30分で分かる人間なんて薄っぺらいんだよ」
ノエルは本格的に怒ったらしく悠とは目を合わせようとしない。
町の中にある丘を登り、頂上に到着する。
そこにはマーガレットが町を眺めるように立っていた。
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