プロローグ

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 人の記憶というのは、決して消えたりはしないという。  思いだせないだけで、記憶の奥深くに眠っている。  とても大事な記憶であればあるほど忘れてしまう。  たとえばそれは、産まれた時初めて母の腕に抱かれた記憶であったり。  たとえばそれは、初めて覚えた言葉だったり。  幼ければ幼いほど、霧のようにモヤのようにそれが薄れていく。  でもそれはあくまで「忘れて」いるだけ。記憶には確かに残っている。  何が言いたいのか。  それはつまり。  ふとしたきっかけで記憶というのはよみがえるということ。
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