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「そもそも、ポーラがそういうのを考えちゃうのって、ポーラ自身がちゃんと恋愛できてないからじゃないの?
言いたくないけど、ポーラってもういい歳よね?
その年で、ボーイフレンドの一人も居ないっていうのはちょっとやっぱり変なんじゃない?
ずっと屋敷に篭ってて、出会いも少なかったとは思うけど、そもそも屋敷に篭ってお菓子ばっかり食べてるのが悪いのよ。
健全な乙女の……」
13歳の少女に『恋愛とは』という議題で懇々とレクチャーを受ける、見た目年齢20歳前後の腐女子気味なポーラさん。
俺は、さして興味も無いアリシアの恋愛観についての演説を聞き流しながら馬車の窓から外を眺めた。
ゆったりとした自然の風景が流れる。
ふと、芙亜(ふあ)のことなんかを思い出してしまう。
俺と芙亜も微妙な関係だったな。お互いに意識はしていた。誰かと付き合えと言われたならば、芙亜は俺を、俺は芙亜を選んでいただろう。
だけど、それは選択肢が少なかったからということもあったとも思う。
そうはいいながらも、俺は他の男と比べられても芙亜に好かれる自信はあったし、他の女子と比べても芙亜は俺の好みの容姿、性格だったともいえる。
任務が忙しくて、恋愛どころじゃなかったけれど。培った絆は、戦いや旅の苦難を乗り越えるためにしか使われなかったけど。
平和を手にしたら、多分俺は芙亜と付き合っていたはずだ。その先はやっぱり結婚?
今頃どこで何をしているのだろう? 順調に事が進んでいたのなら俺の一か月後には芙亜は転生してきているはずだ。ただし異世界とあっちでは時間の進み方が違うらしい。
芙亜は今何歳ぐらいなんだろう? どんな家庭に生まれたんだろう。
考えると、会いたい気持ちが大きくなった。俺は思考を強制的に中断する。
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