第1章

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「お父様もそういう意味で、この旅の旅程を組んでくれたんだと思うわ。  だって、これじゃあ屋敷に居るのと変わらないじゃない?  めちゃくちゃ退屈だってだけで」 「はい……、次からはそうします」  ポーラさんはしぶしぶと言った感じで納得してくれた。  三人旅での退屈しのぎはおしゃべりのみ。  俺は聞き役、あるいは外を眺めて聞き流しが多かったが、ふいにポーラさんに問いかけられた。 「ルートさん。もう魔術科か剣術科かは決めましたか?」  冒険者養成学校でのコースというかクラスは3つある。  アリシアが志望している魔術科、それから剣術科、そして総合科。 「やっぱり総合科にしようかなと」  と俺は答えた。  アリシアには一緒に魔術科にしようと誘われていたけどやんわりと断っている。 「前にも言いましたけど、総合科はやめた方が無難ですよ。  剣術科でも魔法は習えますし、魔術科でも剣術は練習できるんですよ。  総合科と言うのは、剣術の技量も、魔術の技術も一定の水準に達しなかったいわば落ちこぼれさん達が入るところなんです」 「その分入学しやすいんでしょ?」  とアリシア。彼女は併願できるものなら総合科も受けたいらしいが、併願制度は設けられていないらしく、魔術科一本に絞っている。剣術はほとんど練習していないから剣術科は、はなから諦めて。 「入学はしやすいですが……、その分卒業もしにくいです。  養成学校を出たら、即ギルドに登録される訳ですから。  力不足の者は、退学させていくしかないのです。という話です。  わたしは学校へは行ってませんから知り合いに聞いた話ですけど。  総合科で卒業できるのは5人に1人とも10人に1人とも言われています。  なにもわざわざそんなところに入る必要ないじゃないですか?」 「そうなんだろうけど……」
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