疾風迅雷

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 くだらない会話。くだらない時間。  このまま無事に卒業を迎えると思っていた。  そしたら、ほんとにこの4人でパーティを組みたい。  まだまだ世界中を回るには経験も力も不足している。  俺がもう少し成長するまでの間。  せっかく仲良くなれた仲間たちとともに冒険をしたい。  一度、グヌーヴァにみんなを連れて行って、ゴーダやマリシアを紹介するのも楽しいだろう。アリシアをパーティに加えてもいい。  それから、もし仮に。  俺の本来の目的。扶亜の探索と七つ目の鍵探し。行き先はどこになるのかわからないけど。  付いてきてくれるのなら。こんなに気心の知れた仲間達だ。  これからだってみんな成長するだろう。強くなって行くだろう。  一緒に冒険して強くなって、助け合いたい。助けてもらいたい。  そんな明るい未来が見える。目的を果した後、俺は元の世界に戻るのかもしれない。  だけどそれまでは、こいつらとともに過ごしたい。  先のことはわからない。今考えるべきでもない。  そんな思いが胸に湧き上がる。  それを打ち砕くような……、突然俺の元へ届けられた知らせ。  特急便で配達された手紙。  封を解いて中身を確認した俺はの頭は一瞬真っ白になる。  それはゴーダの死を告げる手紙だった。
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