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「ロイエルトォォォォォ!」
腰だめに剣を構えて疾走した。
「怒りに任せた攻撃などっ!」
既に詠唱を終えていたのか、ロイエルトが魔術を放ち牽制してくる。
火属性の火球だ。
「無駄だ!」
俺は、ロイエルトの魔術と同程度の威力を持った火球を即座に迎撃に向かわせた。
「なにぃ! 詠唱も……」
ロイエルトの顔に驚愕が浮かぶ。
が、さすがの相手だ。
俺の振り下ろす剣を、なんとか受け止めることは出来たようだった。
しかし。
それは、俺の思惑通りに事が進んだということ。
刹那の後。
とっさに切り換えした俺の剣の切っ先はロイエルトの首元に突き付けられていた。
ジャルツザッハの応用技。この連撃のみでジャルツザッハ剣術とこの技を結び付けられるものもいない。計算してやったことではなかったが。
「くっ!」
ロイエルトが悔しさの声を漏らす。
迷わず俺は剣を引いた。
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