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上級生や魔術科、剣術科からは恐れられてしまっても、総合科の連中は俺と今までどおりに接してくれた。
ある意味でヒーローである。虐げられていた総合科に突如現れた新星だ。
俺を評価してくれたのはクラスメイトだけではない。
ロイエルトとの戦いぶりを見た学園長は迷わず俺をギルドへと推薦してくれた。
一緒に戦ったチームメイト、プラシ、シノブも力不足ではあるが、俺のパーティの一員であればという条件付で、ギルドへの仮登録を行えるように計らってくれた。
それからもうひとり。
「なんかさ、俺たち代表は3人だけど、ギルドへの仮登録って4人までいけるみたい。
プラシかシノブは入れたい人いる?」
と俺が聞くと、
「無理にとはいわないけどさ、ミッツィを入れてあげて欲しい」
とシノブが手を挙げた。
俺はプラシに視線を向ける。
「僕は……、別に誰でもいいからミッツィでもいいけど……。
なんか理由あるの?」
「単に仲良しだからってだけじゃだめ?」
シノブは俺とプラシの顔を交互に見た。
俺にはシノブの気持がわかる。
聞いた話ではミッツィの家はそれほど裕福ではないらしい。
兄は冒険者だがまだ駆け出しで、それも金銭的に無理して学園に入ったという。借金があるとか無いとか。
さらに、ミッツィの分の学費はその兄の稼ぎのほとんどをつぎ込んで、相当無理して捻出したとか。
ギルドに仮登録して依頼をこなせば、多少とはいえ金を手に入れることができる。
そんな事情を知ってしまっているから俺はシノブの提案を快く了承した。
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