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俺の唯一の血縁者であるゴーダの死は担任経由で学園長に伝わった。
俺は学園長室へと呼び出された。
「卒業式は間近だが……。
一刻も早く帰りたいよね?」
学園長の問いに俺は頷く。まずは真偽の確認。
事実なのであれば……。
「そういうことだったら、こっちとしても出来る限りのサポートはしよう。
何しろルートくんは、総合科で久々の逸材なんだからなあ。
グヌーヴァ行きの特急郵便の馬車に乗せて貰えるように手配する。
それから、これ」
と学園長は俺に、一本の筒と封筒を差し出す。
「少し早いが、卒業証書とギルドへの推薦状だ。
どうせあと数日待てば貰えるはずだったものだ。
出席日数も足りているし、能力的にも問題は全くない。
特別措置だが本日をもって君の卒業を認めよう」
静かでつつましい卒業式を俺は学園長とたった二人で迎えた。
特急の郵便馬車を乗り継げば、ひと月足らずでグヌーヴァへ着くという。
行きは寄り道をしながら二か月ほどかかった道のり。
それをたった一人で引き返す。
寮からの荷物は引き上げて、クラサスティス家の別宅に仮置きさせてもらった。
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