魔術師達

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 僕には自信が無い。人に向って魔術を使うということ。  ポーラはそれで……魔物相手にも魔術を使うことができなくって、冒険者としては使い物にならないって烙印を押されて、家族の元からも離れちゃったらしいけど……。  なんとなく気持ちはわかる。優しいなんていうきれいごとじゃない。  単に臆病。意気地が無いだけのこと……。 「次戦! 剣術科、魔術科連合チームより、アリシア・クラサスティス!  前へ!  総合科より、プラシ・ジャクスマン、前へ!」  審判は魔術科の担任の先生だ。うちの魔術担当教師のグスコじゃなくて、それはひとつの不安材料が消えたんだけど……。 「初め!」 「では、よろしくおねがいします!」  アリシアが、一礼する。決意の籠った表情。  ルートから聞いた話だと、アリシアは入学したのはギリギリでだけど、努力で代表を勝ち取ったという。  アリシアの顔を見て決意が固まる。  女の子になんて負けてられない。魔術の技量(うで)はともかく、覚悟の面で。  僕だって……、僕だって必死で練習してきたんだ。シノブが作ってくれた良い流れ。  断ち切っちゃうのは申し訳ない。 「ナームダ・ト・キーヴォ・ノル……」  アリシアが詠唱を始めた。火属性? 精霊の高まりを感じる。  オーソドックスな魔術ではない。だけど、上級という感じでもない。  負けては居られない。僕にだって中級魔術は使える。  魔術戦は後攻有利。属性の相性を考えられるからだ。  火には水。  水ではなく氷。炎を打ち消して、さらに相手にまで届かせる。  僕も詠唱を始める。
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