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「オーブ・カーナ・コトゥ・バ……」
大丈夫だ。アリシアは詠唱に手間どっている。スムースに唱えられれば、発動はほぼ同時。
「カニヴァーレ!」
「ディケィド!!」
炎が襲ってくる。中級魔術の火炎と言えば、大きな丸い火球が一般的だけど……。
アリシアが放ったのは、もっと鋭く細い。貫通性を持たせた炎だ。一般にはあまり知られていない中級魔術。
僕の放った氷塊で、受け止めきれるか……。
炎と氷がぶつかる、大きな穴を穿った炎が貫通して向ってくる。だけど、僕の氷塊も勢いを失っていない。アリシアに向っている。
と、とにかく躱さなきゃ……。
「トーツ・ガーダ!」
アリシアは初級の火球を生む魔術をあらたに詠唱した。
「トーツ・ガーダ!」
しかも連続。僕の氷塊を迎え撃つのか?
違う! 狙いは僕だ。
よける方向を狙って来ている。
「モルェ・サニネ!」
中級の水球で迎撃を試みる。二発は厳しい。一発はよけなければ……。
足元をすくわれる。
地? いつの間に……?
バランスを崩してしまった。目の前に火球が迫る。
だめだ……、間に合わない……。
「プラシ!!」
「よけろ!」
ルートもシノブも必死で声を掛けてくれるが……。
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