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火球はあえなく僕の胸に付けられた呪符に吸い込まれて消えた。
「勝者! 魔術科、アリシア・クラサスティス!!」
やっぱり敵わなかったか……。相手は魔術科の代表だもんね。
仕方ない。後はルートに任せよう。
だけど……、なにかが変われた気がする。勇気を出すって言うこと。
明日から、もっともっと……今までよりも頑張れる、きっと……。
◆◇◆◇◆
「ごめん、負けちゃった。なんにもできずに……」
戻ってきたプラシを俺は笑顔で迎えた。
「なに、相手が悪かったんだ。火球を避けても、次の魔術が発動を待ってたよ。
正直言って俺もアリシアがあそこまでやるとは思ってなかった。
魔力の量も……。
ちゃんと伝えれら無くって悪かったな」
「そんな……」
「いや、ルートが悪いわ! 一緒に住んでるんだからちゃんとスパイしとかないと!
せっかくあたしがあげた1勝が無駄になっちゃったじゃない!」
シノブは本気で機嫌が悪そうだ。
「いや、だって……、俺が悪いの?」
「僕とルートの連帯責任だね。
責任は、大将のルートにとってもらおうよ」
プラシが冗談っぽく言う。
「次は複合戦だから、俄然ルートに有利でしょ?
幼馴染だからって遠慮せずに、いなしちゃいなさい!
あの子、剣術はからっきし……、あっ!」
どうしたんだ? 突然。
シノブの声に俺は振り返る。
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