魔術師達

5/8
前へ
/176ページ
次へ
 火球はあえなく僕の胸に付けられた呪符に吸い込まれて消えた。 「勝者! 魔術科、アリシア・クラサスティス!!」    やっぱり敵わなかったか……。相手は魔術科の代表だもんね。  仕方ない。後はルートに任せよう。  だけど……、なにかが変われた気がする。勇気を出すって言うこと。  明日から、もっともっと……今までよりも頑張れる、きっと……。 ◆◇◆◇◆ 「ごめん、負けちゃった。なんにもできずに……」  戻ってきたプラシを俺は笑顔で迎えた。 「なに、相手が悪かったんだ。火球を避けても、次の魔術が発動を待ってたよ。  正直言って俺もアリシアがあそこまでやるとは思ってなかった。  魔力の量も……。  ちゃんと伝えれら無くって悪かったな」 「そんな……」 「いや、ルートが悪いわ! 一緒に住んでるんだからちゃんとスパイしとかないと!  せっかくあたしがあげた1勝が無駄になっちゃったじゃない!」  シノブは本気で機嫌が悪そうだ。 「いや、だって……、俺が悪いの?」 「僕とルートの連帯責任だね。  責任は、大将のルートにとってもらおうよ」  プラシが冗談っぽく言う。 「次は複合戦だから、俄然ルートに有利でしょ?  幼馴染だからって遠慮せずに、いなしちゃいなさい!  あの子、剣術はからっきし……、あっ!」  どうしたんだ? 突然。  シノブの声に俺は振り返る。
/176ページ

最初のコメントを投稿しよう!

206人が本棚に入れています
本棚に追加