第1章

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ヨウは後悔していたー。ほんとにひとつしか質問できないならもうすこしマシな質問をしればよかったとー。 いま置かれている状況をみれば、食べ物や飲み物などが親切に置かれていないだろうことは一目瞭然だ。 さっきのアナウンスの回答で、知恵をしぼれやら何やら言っていたのは、 「食べ物、飲み物は自分でみつけろ」 という意味だろう。そして、食べ物などはすぐに食べれるとは限らないので、例えば池で魚を自分でとり、それを焼くなりして食べろということだろう。まあ、例えばの話で、池なんかありゃしないとは思うが…。ただ、自給自足をしろと言っているのは間違いなさそうだ。 「ちっくしょー。こんな簡単なことは、いまの状況みればわかるのによー。無駄な質問しちまったぜ。話術と同じくらい冷静さがウリのヨウさんも、落ちたもんだぜ。ちっくしょー。ちっくしょっー!」 ヨウは、冷静に考えればわかることだが、冷静でいられない、冷静さを失ってしまうようなこの状況にいたら、仕方のないことだとは感じつつも、悔しくてたまらなかった。ただ、悔やんでばかりもいられない。もし、もっとマシな質問をしたとしてもこの現状が変わるとはかぎらない。単なる自分を納得させる言い訳にしか過ぎないかもしれないが、いまはその言い訳でも自分自身を落ち着かせるためには必要だった。そういいきかせると、ヨウは次第に冷静さを取り戻し、落ち着いていった。あくまで、先程と比べて落ち着いていったというほうが正しいが、ヨウにはそれだけでも十分だった。ヨウは少しの間、腰を落ち着け、気持ちが落ち着き、物事を客観的にみれるだろうと判断できる状態になったのをたしかめてから、また再び歩きはじめたー。
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