第1章

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不本意な形での水分補給となったヨウは、完璧ではないが、体力もだいぶ回復したが、周りに人影もなく、遠目にも人影がみえなかったので、すこし休んでいくことにした。 しかし、まさか自分が無人島でサバイバルゲームをしているように、水たまりの水を飲むようなことになるなんて思いもしなかった。誰かに脅迫され、その行為を強要されてのことならまだ理解はできた。それなのに、 「まさか自分からすすんで自発的に水たまりの水を飲むなんてー。」 ヨウは、自分でした行為で後悔しつつも、生きるためためには仕方がないという思いと交錯していた。そのような中、ふとあたまの中におやっさんのカレーの味が思い浮かんだ。 数年間通い続けているおやっさんの食堂。ほんとについ最近まで、そこでカレーを食べながら牛乳を飲んでいる自分の姿が懐かしくて仕方なかった。そして、おやっさんのさりげないやさしさが妙に恋しくなった。 「また、あのおやっさんのカレーをたべたい。」 「あのおやっさんの、食堂の温もりに、もう一度触れてみたい」 水分を補給し、体力が回復してきたおかげだろうか。ヨウは、絶望的な状況、打開策を見いだせない現状にいるにも関わらず、力が湧いてきた。 「そろそろ行くか。」 ヨウは、再び歩きだした。
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