第1章

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翔子は大きめのバックを持っていた。そこには偶然にも飲み物とお菓子が入っていた。翔子は、やはり記憶を失った瞬間から、すぐにこのゲームに巻き込まれたようだった。 翔子は仕事が終わり、ショッピングセンターへ立ち寄ろうかとしたときから、たしか記憶がなかつた。そして、そのときの服装といまの服装はまったく同じであることから、いつゲームに巻き込まれたかを自分なりに分析することはできた。大きめのバックにある飲み物やお菓子もその日、会社へ持っていったものと、まったく同じだった。 それにしても、こんなことに巻き込まれるとはついていないと翔子は感じていた。翔子の感覚で、由美ちゃんと前日に再会し、ほんとに嬉しかった。でも最終的には、由美ちゃんが借入する予定の金融業者の書類に保証人として、サインするハメになった。もちろん、断ることもできたのにサインをしてしまった翔子が悪いことは分かっていたのだが、どうもイヤな気持ちだった。そして、翌日は会社帰りにショッピングセンターへ行こうとしたら、その瞬間から記憶がなくなり、いまに至る。ほんと、翔子はついていないと思った。 (ついてない?) (いつから?) (由美ちゃんと二年ぶりに再会して、由美ちゃんの保証人になって、翌日も変な目にあって…) (もしかして、由美ちゃんのせいでこうなったの?) 翔子は、呆然となった。由美がこのような事態になることを仕組んだということはないだろう。そしたら、わざわざ前日に保証人のサインなど頼む必要はない。でも、今に至るまでの不可解な出来事は偶然だろうか? 翔子もやはり女子。男子は占いなどが好きというのは、あまり聞いたことはないが、基本的に女子は占いなど大好きだった。もちろん、翔子もそれは例外ではなかった。占い、風水、おみくじ、パワースポットなど、どれも好きだった。 翔子は、こういう話をどこからか聞いたことがある。一緒にいることで運気を上げてくれる人もいれば、その逆もある。た、一緒にいることで運気を吸いとる人もいれば、吸いとられる人もいるとー。 「もしかして、由美ちゃんと関わったせいでこんなことになっちゃったの?」 もちろん、不合理な条件付けであることは翔子自身よく分かっていた。しかし、いまの得体の知れない状況のなかで、それを否定する必要もなかった。
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