第1章

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得体の知れない空間。まわりは暗闇でなにも見えない。同じ場所にいるのか、別の場所にいるのはわからない。ただ、分かっているのは 「ゲームがはじまる」 というアナウンスを 三十分前…纓田智也(高校生) 二十分前…印南勝也(中小企業社長) 十分前…野口翔子(会社員) 五分前…通称ヨウ(詐欺師) 最低四人が聞いていること。ただ、その他にもこのアナウンスを聞いている者がいるかはいまの時点では不明である。 そして、今度は不気味な音、人によっては不愉快に感じる音とともにまた、あのアナウンスが流れ出した。 「それでは、みなさん準備はよろしいですね。予告どおりゲームを開始します。」 そのアナウンスと同時に周りが暗闇で何も見えなかったのが、突如明るくなった。纓田智也は長い間、暗闇の中にいたため、目が慣れるまで、少し時間がかかったが、目が慣れていくにつれ、周りをしっかり見渡した。 「なんだよ、これ」 智也は大きな部屋のような場所にいた。周りは壁。だが、狭い部屋ではないので圧迫感はないのだが、閉じ込められていることに変わりはなかった。よく部屋を見渡すと一ヶ所、扉があった。いや、扉と表現するより、部屋のドアといったほうが分かりやすいか。それを見つけた智也はドアを開けようとしたが、ドアは開かない。どうやら、外から施錠できるタイプのようで、どんなに力任せに引っ張ろうが、殴ろうが、蹴ろうがドアはピクリともしなかった。 「開けろ!オラアッ!ゲーム始まったんだったら外出せよ、コラアッ!」 怒りまかせに智也は声を張り上げたが、なんの反応もない。困惑するばかりだった。 時を同じくして、それぞれ智也と同じような部屋だが、別々の場所にて、ゲーム開始のアナウンスを聞いた印南勝也、野口翔子、ヨウの三人も智也と同じようなことをしていた。もちろん、この三人も智也同様に、ドアをみつけ、それを力任せに開けようとしたが、ドアはピクリともしない。そして、これもまた智也と同じように大声を張り上げたがなんの反応もなかった。困惑しているなか、またアナウンスが流れ出した。
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