第1章

21/100
前へ
/100ページ
次へ
五分、十分と時間は過ぎていったのだが、物音がすることはなかった。 (さっきの物音は気のせいだったんだ…よかった…) 翔子は、少し安心すると眠気が襲ってきた。これまで極度の緊張状態が続いているのだから、仕方がない。さっきの物音が翔子本人は気のせいだと思い、少々、緊張の糸が切れて眠気が襲ってきたのである。翔子はバックからスマホを取り出し、アラームをセットし、鍵は掛からないが、部屋のドアを閉めた。そして、ドアの前にはバックをおき、もし、部屋が開けられたらバックが倒れ、寝ていても起きるようにした。よほど、疲れていたのだろう。翔子は、すぐに眠りに落ちた。 十五分後、スマホのバイブで翔子は目を覚ました。寝起きはあまりいいとはいえない翔子だが、このときはすぐに目を覚ました。 (こんな状況で寝るなんて…。どうかしてる!) 自分の甘さに腹が立った翔子だったが、結果的に状況は悪化することにならず、むしろ、仮眠した分、スッキリし、少しは体力も回復した。なので、結果オーライだと翔子は、思うことにした。 ところで、翔子はスマホでアラームをかけていた。スマホやケータイにはご存知のとおり、メール・電話・ネットの機能を使える。プランにもよるが、最低でも電話は可能だ。もちろん、それらも試したがどれもダメだった。メールは送信できず、電話も掛からず、ネットも繋がらずであった。ただ、アラームやメモ帳などは使用可能であり、さきほどはそれを使い、アラームをセットしたというわけだ。 ちなみに纓田智也、ヨウの二人はスマホ、ケータイが使用できないことはすでに確認済みである。正確には、ヨウは確認ずみというより、持っているつもりのケータイがないのだが、もう少しあとにそれに気づく。印南勝也に関しては、被害者チームなのか、加害者チームなのかを考えるだけでいっぱいいっぱいだったこともあり、スマホ、ケータイが使用できないことはまだ知らない。そして、メール・電話・ネットができないスマホ、ケータイを限られた電池容量で活用するかは、それぞれの手腕次第である。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加