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コンサートが始まった。 井上剛の持ち場は最前列の中央よりやや上手側の警備だった。 観客と井上剛の間には、鉄製の柵があり、井上剛は観客の邪魔にならないように体育座りとあぐらの中間の体制で、両手で柵を押さえていた。 男性アイドルの観客といえば大半が10代20代の女性だ。 井上剛の目の前には恐らく大学生の少し茶髪の長い髪の女性が、お気に入りのメンバーのうちわを持って立っていた。 井上剛はその子が今日のお気に入りのメンバーだった。 勝手に井上剛はその子をみゆきと名付けた。 そのみゆきは黒のミニスカートにノースリーブの白地のシャツという格好だった。 コンサートという事でかなり汗ばんでもいた。 これが、もう一つの楽しみだった。警備の配置によっては、お気に入りメンバーが見つからない場合も多々ある。
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