フラワーガールの恋

14/102
前へ
/102ページ
次へ
フラワーガール、、、?   すごく聞き覚えがある言葉だ。いったいどこで、、、 「覚えてない? 君がフラワーガールで、僕がリングベアラーで、、、」 その言葉と共に、身にまといつくような濃い緑の香りだとか、咲き乱れる花だとか、いろいろなイメージが突然降りてきた。 「え? 、、、あ! 、、、あのときのお兄ちゃん!?」  そうだ、名前が。どうして思い出さなかったんだろう。 「驚いたな」 この人が。 この私の目の前に立つ、恋しくて仕方ない人が、あの時のお兄ちゃんだったなんて。 「うそ、、、」 思わず口を手で押さえる。 何か言ったら、言葉以上のものがこぼれてしまいそうだ。 「久しぶり」 アレックスが照れたように笑いながら言う。 「、、、私、また、助けてもらってしまったんですね」 懐かしさや嬉しさや恥ずかしさや、いろいろな感情が混ざって上手く言葉にならない。 「そ、それも、今度はフリまでさせてしまって、」  “彼氏の” とは言えなかった。 どうしよう。俯いたままでアナは考える。 1度ならず2度までも助けさせるとか、めんどくさい子だと思われただろうか。 「フリじゃないよ」 えっ!? と驚いてアナは顔を上げた。 「フリなんかじゃ、ない」 アレックスの真剣な目が、まっすぐにアナを見ていた。
/102ページ

最初のコメントを投稿しよう!

302人が本棚に入れています
本棚に追加