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車もお金もない高校生カップルができることは限られていたが、二人はできるだけ都合を合わせていっしょにいるようにした。
3年生のアレックスはあと1年少し(*)で卒業してしまう。残された時間は限られていた。
高校生はcommunity serviceといって、卒業までに地域での奉仕活動を60時間以上しなければならない。
物いじりが好きだったアレックスは、放課後や休みの日に貧困家庭に行って家の修理を無償でするという団体の活動に加わっていた。
そして、その活動をする彼のそばにはいつもアナがいた。
アナは必要なものを買い出ししたり、時にはお弁当を作って持っていった。
ある週末アナがキッチンで二人分のサンドイッチを作っていたら、『お姉ちゃんに彼氏ができたって本当だったんだ~!』 と思いっきり妹のエリカにからかわれた。
それからは妹のいない隙をねらってお弁当を用意することにした。
アレックスと付き合いだしてアナが驚いたことのひとつは、彼がかなり中国語を理解することだった。
アナのまわりはみなフランス語やスペイン語を外国語として履修していたが、彼は 『実用的だから』 という理由で中学生の時から中国語を学んでいたのだ。
でもそのときはまさか、そのことが二人の関係に影響することになるとは、アレックスもアナも夢にも思っていなかった。
* 地域にもよりますが、アメリカの高校は普通4年生まであります。
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