フラワーガールの恋

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アレックスがアナに手渡したのはアーモンドファッジ味。アナが一番好きなフレーバーだ。 どさ、と隣に座る彼の気配を感じながら、アナはすでに溶けてきてこぼれそうな塊を舌ですくい上げる。 彼のはレモンソルベ。クリーム系の甘いのは苦手だと言って。 「寒くない?」 そういうアレックスの問いに、ひとかじりしたばかりのアナは答えられずに 「んんー」 とだけ言う。 「ホントおいしそうに食べるね。その味、そんな好きなの?」 うん、という前にアレックスの顔が近づいてきて、さくっと一口、アナのアイスをかじってしまった。 「んー!」 ずるいよ、とアイスだらけの口では言えないので、ごくんと飲み込んでから軽く睨んで抗議する。 「もー」 「ごめんごめん、返そうか?」 そういうとアレックスはアナのあごに手をかけて、ちゅ、とくちびるに軽くキスを落とした。 「、、、!?」 目を開けたままのアナ。 「ちょっと、、、」 焦って噴水の方を見たが、さっきのカップルはもういなかった。 「ごめん、なんだか可愛くてさ」 アイスクリームだらけの初キスなんて! と怒ろうとしたが、申し訳なさそうに眉を下げている彼を見ると、なんだか怒る気も失せてしまった。 アレックスがそっとアナの手を握ってくる。 「アナ」 思わず手を見つめたアナが見上げると、アレックスのちょっと困ったような顔がすぐそばにあった。 「もう一回、してもいい?」 「え」 「好きだよ」 今度は、目を閉じるのに間に合った。 もっとも手には溶けてきたアイスを感じながらだったが、、、。
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