フラワーガールの恋

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=== 「ママー、帰りにあのアイスクリーム屋さん、寄っていい?」 レジで雑誌の支払いを待つ母親の隣に立つ6歳くらいの男の子が、期待に満ちた目でお願いしている。 「そうねえ、今日はお注射がんばったからね」 「やったー! 僕、あそこのアーモンドファッジ味、大好き!」 予防注射かなにかの帰りなんだろうか。 母親が支払おうとカウンターに置いた本の名前を見て、一瞬手が止まった。 著者の名前がAlex Gordonだったからだ。 もちろん彼ではない。単に同じファーストネームというだけのことだ。 それなのに。 どうして今だに、この名前を見るたびに心がざわつくんだろう。 どうして、、、。 「、、、ったく」  アナはそんな自分の意識を振り払うように、レジ打ちを始めた。
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