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もう道路の反対側の標識の文字を読み取るのも難しい。
そんな風に夜の闇が忍び寄る時間になるまで、二人はベンチに座って話していた。
「私のことは構わないで行って、、、なんてそんなカッコいいこと言えない」
アナが俯く。
「そんなこと、僕だって言ってほしくないよ」
アレックスはアナの肩を抱く力を強めた。
「でもあなたに後悔してほしくないの」
「わかってる」
ー とにかく、寂しくなったら隠さないで言うんだよ?
ー お金はかかるけど、1週間に1度は電話で話そう。
ー バイトしてお金をためて、クリスマスには会いに帰るから。
ー 私もカルフォルニアの大学に行けるようがんばる。
ー ぜひそうして。先輩としてアドバイスはいくらでもするから。
お互いに意見やアィデイアを出し合う。
今みたいに長距離でもスカイプでタダで話すようなことはできない時代だった。
それでもなんとかがんばって続けていこう、と高校生の二人は必死に考えた。
そうして6月になり、アレックスはカルフォルニアに旅立っていった。
その夏は奨学金を出してくれた会社で、アレックスはインターンをした。
長距離電話代は二人合わせると月何万円にもなったが、『必要経費だから』 と目をつぶった。
アナは3年生になり、今度は自分の大学の受験準備に入った。もちろん、アレックスがいろいろとアドバイスをくれた。
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