302人が本棚に入れています
本棚に追加
アナは西海岸の大学を受けるつもりで、実は今回の旅行はそのための大学訪問も兼ねていた。
アレックスがそのためにいろいろ下調べもしてくれ、レンタカーを運転して案内もしてくれたので、とても効率よくまわることができた。
「受かればいいけど」
「君なら大丈夫だよ」
アナの母は看護師で、父は会社員だ。だが父は昨年くらいから体調を崩しており、一家の家計は主に母の双肩にかかっていた。
両親にこれ以上の負担はかけられない。アナもできるかぎりいい条件を出してくれる大学を探さなければならなかった。
海沿いをカモメたちが優雅に飛んでいく。
「今度君と一緒にいられるようになったら」
前を向いたままで、アレックスは言った。
「二度と離す気はないから。そのつもりだから」
(、、、! それって、、、)
その言い切るような語調と、何よりもその意味するところに驚いて、アナは目を見開いて彼の方を見る。
アレックスもまっすぐアナの方を見ていた。
「、、、いい?」
強気な言葉のわりには、懇願するような目線で彼は聞いてきた。
「うん!」
アナは上半身ごと、彼に倒れこむように身を預けた。
ぎゅっと強く抱きしめられるのを感じながら目を閉じると、アレックスの指が頬をなぞり、唇に温かいキスが落ちてきた。
最初のコメントを投稿しよう!