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大学2年生も半分を終えたクリスマス休暇に、アナはいつものように空港でアレックスを待っていた。
20歳になったアナは免許を取り、父の車を借りて来ていた。
「アナ!」
扉が開き愛しい声が聞こえてくる。
「アレ、」
名前を呼び終わらないうちに彼は走り寄ってきて、アナを抱きしめた。
「会いたかった。ほんと、めちゃくちゃ会いたかった、、、」
「私も、、、」
ひとしきり抱擁がすんで少し気分が落ちつくと、アレックスは右手を差し出してきた。
「車で来たんだよね。僕が運転していい?」
「いいけど、疲れてない?」
「平気だよ。寄りたいところがあるんだ」
アレックスはアナから車のキーを受け取ると、空港から寄り道して町の郊外を流れる川を見下ろせる見晴し台に来た。
車数台が停まれるスペースがあるので、そこに車を寄せる。
もう12月であたりは暗くなり始めており、人気はまったくない。
こんなところにどうして? と思いながらアナは聞く。
「降りるの?」
「いや、寒いし、中でいい」
車内の暖房の温度を調節すると、アレックスはこちらを見た。
「アナ、大事な話があるんだ」
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