フラワーガールの恋

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大事な話?  なんだろう。アナは緊張してセーターのすそを握りしめた。 「卒業したら、たぶん奨学金を出してくれた会社で働くことになると思う」 「え? ほんと? もう決まったの? 早いね、おめでとう」 今までも夏の間にその会社でインターンとして働いていた彼。 その勤務態度や潜在能力を会社幹部に高く評価されているとは、アナも聞いていた。 だからさほど驚きではなかった。 「いや、まだ正式決定じゃない。でも大事なのは」 「?」 「あの会社、こちらにも支店があるんだ。ここから車で2時間くらいのところ。そこに配属してくれると思う」 「え、ほんと、、、!?」 「うん。そう希望を出して、人事の人に問題ないだろうといわれた」 アナは思わず口を左手で押さえた。 アレックスが、帰ってくる! すぐ近くに。、、、もう泣きそうだ。 アレックスはそんなアナの肩に手をかけ、自分のほうに引き寄せた。 アナは彼の肩にそっと頭を乗せる。 「それで思うんだけど、君のママの様子が落ち着いたら、一緒に暮らさないか?」 「え!?」 アナはびっくりして体を起こし、アレックスを見つめる。 「ま、それはゆっくり考えてくれればいいけど」 アレックスはちょっと照れくさそうに頬をかいた。 アナも来年は21歳。法律的にも、もう大人だ。 (アレックスと二人で暮らすの、、!?) 急な話の展開に、アナは何をどう考えていいのかわからない。 「えっ、と」 嬉しいんだけど、だけど、なんて言えばいいの? 「ごめんごめん、ちょっと先走りすぎた」 そういってアレックスは苦笑いすると、アナのつむじあたりにひとつキスを落とした。
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