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「アナ」
アレックスの手が下におり、スカートの布を握っていたアナの手をはずし、そっと握る。
「今までずっと我慢してくれてて、ありがとう」
「う」
(そんなこと言われたら、ほんとに泣きそう)
そう思ってアナは俯いた。
「アナ」
その頬をアレックスの指がたどり、こちらへと向かせた。
彼の目がストレートに自分を覗き込んでいる。
「好きだよ」
私も、という声はかすれてあまり声にならなかった。
アレックスの唇がアナの額から目のわき、頬へと落ちてきて、唇をとらえる。
「んっ、、、」
いつもの親愛のキスじゃない。
どんどんと奥に入り込んでくる。
深い深いキス。
久しぶりに会う二人は、お互いが本当にそばにいるんだということを、目で、手で、唇で確かめ合った。
アレックスが上体を起こし、アナにかぶさるように姿勢を変える。
彼の左手がアナのセーターの裾から中に入り込んできた。
「ぁ、、、」
こんなところでと思うが、実家暮らしのアナと家に帰省するアレックスには、二人きりになれる場所がなかなかない。
高みにたどり着いて、アナを翻弄するアレックス。
優しいけれど容赦ないそのタッチに、アナは自らの奥深いところから溶けそうになっていった。
「やっ、、、」
キスをする間にアナから声が漏れた。
「ダメ? アナ、僕はもう、、、」
眉根を寄せて切なげに懇願する彼の顔を見たら、嫌だとはいえなかった。
いや自分だって嫌だといえる状態じゃなかった。
アナは手を伸ばして彼の顔を引き寄せ、その口に自らキスをした。
二人はそのまま熱に流されていった。
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