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「ガイドブック、置いてありますか?」
「ガイドブックですか。こちらになります」
アナは伝票整理の手を止めて、中年の女性を店の奥のほうに案内する。
「お探しの場所は国内ですか、外国ですか?」
「えっと、ペンシルバニア州の、、、」
ペンシルバニア州の、、、!
微かにアナの胸の奥で、脈が跳ねた。
アレックスの会社の支店があった場所だ。
いまもあるのかは、わからないけれど。
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(支店のある町ってこんな感じなんだ)
アナは週末に訪れた本屋さんで、アレックスが働くことになるという町の名前が載っているガイドブックを探した。
この州の中では歴史がある町なせいか、大都市ではないのにガイドブックはいくつかみつかった。
(こんなところなんだ)
彼と二人の生活って、どんな感じなんだろう。
まだかなり先のことだろうけど。
一人暮らしすらしたことのないアナには、あまり想像がつかない。
でも。
ふたり一緒の時間が増えたら、お休みの朝にはパンケーキを焼いて。
週末にはスーパーに一緒に買出しに行って。
自転車を買って、遠くの公園まで散歩に行って。
そこにも噴水はあるだろうか。
あるといいな。
、、、そんな幸せな夢に浸れる時間が嬉しかった。
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