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式に続く立食パーティの後、退屈した子供たちは誰かが持参したフリスビーで、また庭中を駆け回り始めた。
でも4歳のアナはとてもそのスピードにはついていけない。
「アナ、見てごらん」 ぼうっとしていたアナにアレックスが人差し指を突き出した。
「きゃ」
「てんとうむしだよ。かわいいだろ?」
そのあと二人は、庭のあちこちに生えた大木の幹をくまなく見てまわりながら、虫発見ごっこをして過ごした。
「またねー」 夕方の陽が差し込む中、子供たちは大人に連れられ、それぞれの家路につく。
(優しいお兄ちゃん。また会いたいな)
アナは別の車に乗り込むアレックスの方を背伸びして見つめた。彼は新郎の従兄弟の息子だということだった。
だが4歳の子の記憶力などたかが知れたもので、その後幼稚園から小学校、中学校と進むにつれ、アナの記憶の中から彼のことはすっかり姿を消してしまった。
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