フラワーガールの恋

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「わかった。じゃあ、メッセージを渡してくれる?」 そういってノートを取り出した彼に、エリカはため息をつきながら言った。 「お姉ちゃんはもうあなたのことを忘れようとしているんです。本当にかわいそうだったんだから!! もうほうっておいてくれませんか?」 「エリカちゃん、僕は彼女のことを忘れたことはないよ。一日だってない」 アレックスはエリカの目を見つめながら、どうかわかってもらえるようにと祈りながら、話した。 「確かにこんなに長く離れ離れになってしまって、それは本当に申し訳ないことをしたと思ってる。でも必ず戻ってくるから」 そしてノートのページをちぎると、この前出した手紙と同じ内容を綴った。 ただし今度はもっと具体的に。 実はこの2ヶ月、彼なりにアメリカに早く戻れる方法を密かに探っていた。 2年の実務経験は長いとはいえないが、事務所をゼロからスタートして上手く運営に持っていくことに大きく貢献した一人として、彼の能力を評価する人は何人もいた。 本社で交渉してこちらにもっとはやく戻してもらうか、そうでなければ前から彼に興味があると言ってくれていたこの地方の企業と話もしているので、彼らを訪ねて転職も考える、そういう心づもりで来ていた。 ― 、、、だから、君の気持ちを聞きたい。このメッセージを受け取ったら、昼間だろうが真夜中だろうが、すぐに電話してくれ。 ― 寂しい思いも辛い思いもたくさんさせてしまって、本当にごめん。でも離れていたこの2年間、いや6年間、何度も考えたけどやっぱり行きつくのはアナ、君のことだ。 ー もう離れ離れの生活はおしまいにしよう。君もまだそう思ってくれているなら、電話して? お願いだから。 そう書き綴ると、エリカにその紙片を託して、その場を去った。
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