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バタバタバタバタ、バターン!!
ちょうど表から店に入ってきたショーンが、目を丸くする。
「なに、今の誰、アナ?」
「うん。どうしたんだろ、、、」
ルナは心配そうに、アナが駆け込んだスタッフルームの方を見やった。
考える前に体が動いてしまった。
(はぁ、、、)
後ろ手に勢いよく閉めたドアノブから手を離して、ずるずると背中をドアに預けたまま、しゃがみこむ。
(なんでっ、、、!?)
(なんで彼がここにいるのっ!?)
両手で顔を覆う。
穏やかじゃない鼓動が、こめかみのあたりにまで伝わってくる。
しかしすぐに自分が今やってしまったことに思い至って、今度は青くなった。
、、、店長、まさかの逃走。
そぉーっとドアをあけて店の方を覗くと、アレックスの姿はもうなかった。
帰ってしまったんだろうか。
ほっとしたような、すごく残念なような、、、。
いやいや彼はお客さんだ。いくらなんでも、あの態度は失礼すぎたかも、、、。
ルナはいったいどう思っただろうと考えると、さすがに恥ずかしさに居たたまれなくなった。
深呼吸をひとつして、自分に気合を入れ、仕事モードに頭も表情も切り替えようとする。
店に戻ると、心配そうにルナが駆け寄ってきた。
「大丈夫ですか? 気分が悪くなったんですか?」
「え、ええ、いえ、そうじゃないわ。ちょっと緊急の電話を思い出して」
アナはにっこりと、余裕の笑みを見せようとした。
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